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【徹底解説】令和5年度 賞与・退職金制度導入コース(キャリアアップ助成金)申請の流れ・書類・注意点の図解まとめ

各助成金をコース別に詳しくみていく徹底解説シリーズ。今回は、『キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コース』をお届けします。

全体像から各要件に落とし込み、わかりやすく解説します!

申請に関するFAQも記載しています。ぜひ最後までご覧ください。

でわかること
  • 賞与・退職金制度導入コースの全体像
  • 申請の流れや注意点
  • よくある質問ーFAQー
目次

キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コースとは

キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コースは、契約社員・パートタイマ―・アルバイト等すべての有期雇用労働者等に対して新たに賞与または退職金制度を導入し、対象労働者に一定額の支給または積立をすることで受給できる助成金です。

制度の目的:非正規雇用労働者に賞与又は退職金を支給することで処遇改善を通じたキャリアアップを図る

厚生労働省の統計資料『令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査』によると、正社員に手当等を実施している企業割合を100とした場合に、下記表の有期雇用労働者等に対して実施している企業割合は、『賞与』が4割~6割、『退職金』は1割~2割といずれも低い結果となっています。

賞与のほうが導入されやすい傾向にあるようです。

キャリアアップ助成金の”賞与・退職金制度導入コース”は、有期雇用労働者等への賞与や退職金制度の導入により、処遇改善を通じたキャリアアップを図る目的で制定されました。

引用:厚生労働省『令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査

賞与・退職金制度導入コース『適性チェックリスト』

キャリアアップ助成金の賞与・退職金制度導入コースはこんな方におすすめです。

□ 契約社員やアルバイト等を雇用しているもしくは雇用しようとしている

□ 採用競争力を強化したい

□ 従業員のモチベーションを向上させたい

比較対象の正社員がいないと申請できないのかな?

この助成金は正社員がいなくても問題ありません!

図解でわかる賞与・退職金制度導入コースの全体像

キャリアアップ助成金の申請の流れについて、大枠は各コースとも似たようなつくりになっています。

申請の流れ※申請期限に要注意

賞与・退職金制度導入コースは、いつまでに何をする必要があるのでしょうか。ざっくりと確認していきましょう。

STEP
計画申請

制度導入前までに
・キャリアアップ管理者の選任
・対象者の確認
・申請スケジュールの組み立て
などを行い、キャリアアップ計画書を作成します。

申請後、約1ヶ月程で会社に確認印が押印された計画書の写しが届きます。
社労士事務所へ代行を依頼している場合はPDFにて共有してください。

STEP
制度導入(就業規則へ規定)

支給・積立の時期までに行います。

STEP
賞与の支給・退職金積立

支給・積立の主な要件
6ヶ月相当分として対象労働者1人あたり
・賞与の場合、5万円以上支給
・退職金の場合、1.8万円以上積立

STEP
支給申請

原則、初回の賞与の支給または退職金の積立後、6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行います。

STEP
審査

支給申請後2ヶ月~6ヶ月をかけて申請要件に合致しているか、労働局にて厳格な審査が行われます。

STEP
支給決定

審査で問題がなければ、会社に支給決定通知書が届きます。
社労士事務所へ代行を依頼している場合はPDFにて共有してください。

申請した口座への振り込みを確認して受給完了!

何となく、流れがつかめればOKです!

他の助成金と同様に、支給申請の期限は厳守する必要があります。ほぼ例外なく1日でも過ぎると受給できないので注意してください。

支給申請期間は上記原則のほか、つぎの例外パターンもあります。

例外パターン支給申請の起算日
初回の賞与支給または退職金の積立をした日が賃金支払日と同日の場合翌月の賃金支払日
賞与と退職金を同時に導入した場合初回の支給または積立のいずれか遅い日

賞与・退職金制度導入コースの対象者

賞与・退職金制度導入コースの対象者についてもみていきましょう。

次のいずれにも該当している対象者が1名以上いることが必要です。

有期雇用または無期雇用労働者
制度施行日の前日以前3か月以上雇用されている(勤務日数11日未満の月は除く
支給・積立日以降の6か月間、当該対象適用事業所において雇用保険被保険者である
事業主または取締役の3親等内の親族以外である
支給申請日に離職していない
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」より一部抜粋

▼まとめ図

賞与・退職金制度導入コースの主な要件

賞与または退職金制度を導入するにあたり、いくつかの要件があります。

就業規則等により、新たに制度を設けること
すべての有期雇用労働者等に関して適用させること
賞与の場合6か月分相当として5万円以上を支給する※
退職金の場合、いずれかの額を積立てする※
①1か月分相当として3,000円以上を6か月分
②6か月分相当として1万8千円以上
退職金の場合、支給決定後に積立金等が確認できる書類を提出できること
基本給および定額で支給されている諸手当を減額していない
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」より一部抜粋

※対象労働者1人あたりの金額。

注意すべきは、助成金の対象者がそのまま制度の適用対象者ではないということです。

”助成金の対象者≠制度の適用対象”どういうこと?

例えば、助成金の対象者としては『雇用保険被保険者であること』が必要でした。

一方、賞与または退職金の制度は、原則として『すべての有期雇用労働者等』に適用する必要があります。

合理的な理由なく、一部の労働者のみを対象にすることはできないという点を考慮しておきましょう。

制度自体は『すべて有期雇用労働者等』に適用される。
支給・積立金額は助成金の『対象労働者』に適用される。

賞与・退職金制度導入コースの支給額

会社規模別に、賞与又は退職金制度を『どちらか一方を導入』するか『どちらも導入』するかによって支給額が異なります。

賞与 or 退職金賞与 & 退職金
中小企業40万 円56.8万円
大企業30万円42.6万円
1事業所あたり1回のみ

※ 過去に「旧諸手当制度共通化コース」および「旧諸手当制度等共通化コース」の助成金の支給を受けている場合は、支給対象外となります。(健康診断制度を新たに設け実施した場合の助成のみを受けている場合を除く。)

事前に用意しておくべき書類

次の書類を用意しておくとスムーズに支給申請できますよ。〇がついているものは支給申請の添付書類なのでしっかり準備しておきましょう。

雇用保険適用事業所設置届
対象者の雇用保険被保険者資格取得確認通知書
(転換前に被保険者でない場合は転換後のもの)
振込先口座がわかる書類
(通帳、キャッシュカードの写し)
認定されたキャリアアップ計画書
制度導入前後の就業規則(本則、賃金規程等)
制度導入前後の雇用契約書等
制度導入前3ヶ月、後6カ月の出勤簿またはタイムカード
制度導入前3ヶ月、後6カ月の賃金台帳または給与明細

よくある質問ーFAQー

就業規則等に規定はないが、慣例的に賞与を支給していた場合助成金の対象になりますか?

支給対象となり得ます。
(退職金制度も同じ)

賞与の規定はあるが、一部の有期雇用労働者等は除外していた。すべての者に一律支給とした場合助成金の対象になりますか?

賞与制度を「新たに設けた」とはいえないため、支給対象外です。

中小企業退職金共済制度のような社外積立型の退職金制度を導入した場合、支給対象となるのでしょうか。

社外積立型の退職金制度を導入する場合でも、支給対象となり得ます。

退職金制度はどのようなものがありますか?また、必要な書類について具体的に教えてください。

具体的には以下のような制度、書類が挙げられます。

退職金制度の内容/書類例
事業主が費用を拠出した積立金
 退職金規程、対象者名簿簿(対象者ごとの積立額が分かる資料)
確定給付企業年金
 規約および厚生労働大臣の承認(認可)に関する通知
 実際に積立が行われていることが分かるもの
確定拠出企業年金
 規約および厚生労働大臣の承認に関する通知
 実際に積立が行われていることが分かるもの
生命保険の契約に基づいて支給を受ける年金又は一時金
 退職金規程、対象者名簿、保険証書
 実際に掛金が納付されていることが分かるもの
中小企業退職金共済
 退職金規程、加入証明書
 実際の掛金が納付されていることが分かるもの
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A(令和5年度版)」より一部抜粋

【まとめ】求職者と従業員の心をつかむ賞与・退職金制度

賞与・退職金制度は、求職者から見て会社の魅力をより一層高める要因となります。採用競争力の強化や従業員のモチベーション向上への一手として有効です。

もちろん、かかるコストや費用対効果など慎重な検討が必要です。

しかし、上手く活用すれば、従業員の満足度向上や採用の成功に大きく寄与します。

ぜひ一度、自社に導入可能か検討してみてはいかがでしょうか。

当サイトでは図解でわかりやすく、役立つ助成金情報をお伝えしていきますので、随時チェックしてくださいね!

参考資料一覧

厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」(令和5年4月13日)

厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A(令和5年度版)」

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